お父さん?
先日、お墓参りの帰りに、ガソリンスタンドでの出来事です。
一人では運転中眠たくなるから、友達を強制連行で墓参りに同行させた。
洗車待ちをしていて、友達と話しながら暇つぶしをしているところ、勧誘のスタッフさんがやってきました。
対応してくれたのは、小柄で小顔、まるで堀北真希さんのような可愛らしい女性スタッフ。
窓を開けると、一生懸命カードやアプリの説明をしてくれます。
あいにく自分は別の系列のカードを使っていたため、友達に話を無茶振りし、「うーん、別のところ使ってるからなぁ…」と、のらりくらり遠回しにお断りする流れを作ろうとしていました。
すると、その可愛らしいスタッフさんが、僕の顔を真っ直ぐ見つめて言いました。
「お父さんのカードですか?」
一瞬、時が止まりました。
動揺を隠しつつ「え?」と思っていると、彼女はさらに畳みかけてきます。
「お父さんはアプリ使ってますか?」
「お父さん、これお得ですよ!」
聞き間違いではありませんでした。
彼女の澄み切った瞳には、自分が「父親」としてハッキリ映っていたようです。
普段、お世辞でも「30代に見えますね」なんて言われることがあり、すっかり「自分は実年齢より若く見えている」と調子に乗っていた僕の淡い自惚れは、その瞬間に見事に砕け散りました。
接客のプロなら「お兄さん」や「ご主人」と呼んでおけば無難なところを、迷いなく「お父さん」と言い切られたあの圧倒的な確信。
若く見えていると思っていたのは、どうやら僕の痛い勘違いだったようです。
反論する気力も湧かず、ただただ「お父さん」として説明を聞き続けるしかありませんでした。
堀北真希似の笑顔で放たれた「お父さん」というボディブローのダメージを、今も地味に引きずっています。